◆子どもたちの日常への影響はどうなの?

◆土ぼこりや、落ち葉焚きの煙で被ばくするの?

以前、時事ドットコムに「舞い上がりは内部被ばく10倍=放射性セシウム、直接吸入と比較 原子力機構解析」という記事が掲載されていました。(※2012年5月時点では記事は古くなって削除されています)
一度地面に降下し、風で舞い上がるなどした放射性セシウムを取り込んだ場合の内部被ばく量は、 大気から直接吸入するのに比べて約10倍多いという研究結果があるそうです。 やはり風で舞い上がった砂埃などを吸い込むのは、あまりよくないことがわかります。 マスクは隙間から空気が入ってしまうし、子供の場合嫌がることも多いので、判断は難しいです。

広葉樹の葉は3月に葉が無かったので、さほど汚染されていないことが明らかになっています。 しかし、地面に落ちると、落ち葉は吹き溜まりにたまります。プラスの電荷をもつセシウムは、マイナスの電荷をもつ 土埃に付着しやすいので、吹き溜まりの落ち葉には、少し注意したほうがいいかもしれません。

各地で焼却灰の放射能が多いことがわかると、排気にどれだけ出るのかと心配になります。 気になる落ち葉焚きについて、10月に東京大学の小豆川先生に質問したところ「煙を吸っても大丈夫と 断言はできないけど、煙と灰では、灰に含まれる放射能のほうが圧倒的に多いことはわかっています」 とのことでした。

◆チェルノブイリの汚染と比べると?

チェルノブイリの汚染基準とさいたま市を比較してみましょう。

*ソ連政府及びベラルーシ政府における退避基準(土壌中のセシウム137量)

・居住禁止区域:1,480,000ベクレル/平方メートル(40キュリー/キロ平方メートル)以上
・厳戒管理区域:555,000ベクレル/平方メートル(15キュリー/キロ平方メートル)以上
・汚染地域:37,000ベクレル/平方メートル(1キュリー/キロ平方メートル)以上

この退避基準が決まる頃にはセシウム134の影響があまり無かったため、137だけで決めてますが、 今の関東では、まだセシウム134の影響も強いので、比較するなら134と137の合算で考えるべきでしょう。

*埼玉の土壌汚染

今の埼玉の土壌汚染は、文部科学省による航空機モニタリング結果で知ることができます。
埼玉県のセシウム134・137合算は、概ね10,000ベクレル/平方メートル以下ですが、 部分的には、60,000〜100,000ベクレル/平方メートル程度の高い地域もあるようです。

*事故以前、事故後の値

事故前の土壌中セシウム量「日本の環境放射能と放射線」サイトより
事故後の関東土壌調査「東京大学・小豆川助教」サイトより

土壌の表層を採取した結果と、深いところまで採取した結果を単純に比較はできませんが、 上記のデータから、関東にも、事故以前に比べれば、かなり多くのセシウムが沈着していることがわかります。

さいたま市は極端な汚染地域ではありませんが、事故以前に比べれば、身近なところに放射能が増えてしまったので、 しばらくは、雨樋下・吹き溜まりなどに放射能が溜まる場所に注意して過ごすほうがいいかと思います。

また、航空機モニタリング結果をみる限りでは、東北から関東にかけて、まだらに汚染が広がっているので、 今後の校外学習の行き先がどうなるかも気になるところです。

参考:「110518チェルノブイリ事故によるセシウム汚染の区分とその対応」森ゆうこ議員資料サイトより


2012.05.31更新
2011.12.10初出



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