◆すこやかさいたま・北区の会
(1月19日シェア会テーマ ※シェア会実施後の加筆有り)


2011年1月19日の「さいたま北区・思いと情報をシェアする会」では、下記の2つのテーマを中心にお話をしたいと思っています。下記のテーマについてご意見のある方は是非ご参加ください。

(※2011年1月20日には、19日のテーマと資料を持って、北区保健センターでお話を伺ってきました。その時の報告はコチラ

もちろん、いつものように放射能が気になるお母さん達の気軽なおしゃべりの場もありますので、堅苦しいことが苦手な方も、是非気軽にご参加くださいね!!

テーマ・その1 保健センターの体制について

<これまでの経緯>

◆2011年11月、小川ひさし議員に「さいたま北区・思いと情報をシェアする会」にご参加いただきました。北区ステラタウン周辺は小さなお子さんを抱える若い世帯が多く、この時の会合では、若いお母さんたちから子供たちの内部被ばくを検査してみたいという希望や、砂場に放射性物質が溜まっているのではないかという疑問や、ストロンチウムなどの検査がなされていないことへの不安…などの声が出ていましたので、後日これらの件について、小川議員から市にヒアリングしていただきました。

◆市からは回答として、下記3点の資料をご提供いただきました。(3.以外は紙の資料なので、シェア会に参加者の皆さんにお見せします)

1.水道水について ストロンチウムの計測については時間を要することもあり、厚生労働省の「水道水中の放射性物質のモニタリング方針」に基づきヨウ素・セシウムを指標として今後もモニタリングを行う。

2.原発事故によるストロンチウムへの対応(環境対策課資料)
横浜でストロンチウムが計測された経緯について。国の調査においても事故発生前の測定値の範囲内であり、リスクは少ないと考えられる。

3.放医研のQ&A
http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i20

◆2011年12月、小川議員が保健福祉委員会で、放射能に関する議案外質問をしてくださいました。この時の議事録は下記です。

http://sukoyakasaitama.web.fc2.com/sukoyaka/sukoyaka_katsudo_201112_gikai_2.html

<問題点>

◆上記、経緯を踏まえて、提供された資料と保健福祉委員会の議事録について、運営スタッフが話し合いの叩き台として、下記の疑問点をまとめました。当日は、これについて、皆さんのご意見を伺いたいと思っています。

(1)
小川議員からの「子どもたちの体内セシウムの量について、現状認識と今後の対応」についての質問に対して、保健所長が「埼玉県内で事故後に計測されている数値は、国内でも比較的放射線量が高い地域の住民が恒常的に受けている放射線量に比べて低い」「さいたま市原発災害関連研究チームの学識経験者は現時点では健康調査は不要と言っている」だから、「尿中セシウムや内部被ばくの調査は不要」と回答されてます。

→この回答について疑問に思います。保健所長は、国内の放射線量が高い地域と、事故後のさいたま市を比較していますが、この比較は外部被ばくの比較です。小川議員からの質問は、放射性物質を呼吸や食物から体内に取り込んだ内部被ばくについてであり、花崗岩を呼吸や食物を通じて取り込むことはないので「花崗岩が多い地域に比べて外部被ばくが低い」という説明は、質問への回答になっていません。

一般的な線量計は、市が貸し出しているものであれ、個人が購入した安価なものであれ、「γ線がどの核種由来か」弁別することができず、計測したγ線全部がセシウム137に由来していると仮定してシーベルトに換算しているので(※1〜2)、線量計の値を単純に比較するだけでは、さいたま市と、国内の放射線量が高い別の地域との「内部被ばくのリスク」を比較することはできません。

また、さいたま市が参加している九都県市首脳会議が昨年秋に国に出した要望(※3)の中に「住民の健康被害が生じる可能性が否定できず」という文言があり、国に対しては「低線量被ばくの長期的な子どもの影響に関する調査等の実施」という要望を出しています。この要望書をみる限りでは、さいたま市としても「住民の内部被ばくの長期的な調査が必要だ」という見解を持っていると判断できますが、これは、先に挙げた市の原発災害関連研究チームの学識経験者と保健所長の「内部被ばくについては調査の必要無し」という主張と矛盾しています。

様々な資料によると(※4〜5)、過去核実験が盛んだった頃より多くの放射性物質が飛来したことがわかります。過去に類をみない汚染なので、市民の間には「今後体内の放射性物質が増加していくのではないか」という不安が広がり、自費で尿中セシウム量を測定して公表する動き(※6〜7)が始まっています。かつて水俣病などの公害について、日本の行政の被害防止策が遅れて被害が拡大した教訓から、発展途上国では被害が出る前に手を打とうと、住民の毛髪中の有機水銀量を調査するなどの対策(※8)を行っていますので、今回の事故の影響についても、継続してた調査が必要かと思います。

私達市民が知りたいのは「今まで食事や呼吸を通じて体内に取り込んだ放射性物質の影響はどの程度か?それは今後増えていくのか?」なので、この点について保健センターの現状認識を教えていただきたいです。

(2)
小川議員からの「ワンストップ相談体制がつくれないか」という質問について、保健所長が「放射線に関する窓口は、区役所の保健センター」と回答なさっています。

→飯能市は放射線に関する市民の市役所各課への問い合わせにワンストップで対応する窓口を設置したそうですが(※9)、保健所長の発言は、給食についても、保育園の砂場についても、放射能についての質問や要望は、全部保健センターの窓口へと解釈してよいのでしょうか?

今までの市民が教育委員会・保健センター・市政への提言など様々な窓口から放射能に関して問い合わせたり、要望を出したりしてきた内容は、原発災害関連研究チームはによって一元管理されているのでしょうか?
また、それは保健センターの窓口の方と情報共有されているのでしょうか?
市民からの疑問については、学識経験者と定期的な話し合いがなされているのでしょうか?

放射能について心配で電話をかけているのに、あちこちの窓口にたらい回しにされたり、以前話した内容が担当者間で情報共有されてないような印象を受けたりすることが多く不満に思っている市民も多いので、市の現状認識を教えていただきたいです。


(3)
1月19日の話し合いの場では、市の放射能対策の現状について,下記のような疑問の声があがりました。
「市立保育園では線量の測定などがなされているけれど、認可園であっても私立保育園では測定が行われてません。私立幼稚園、民間運営の学童保育所なども同様で、市立と私立で格差があるようです。市はどう考えているのでしょうか?」
この件について現状と今後の方針を教えていただけませんでしょうか?


テーマ・その2 最近の放射能の話題(ストロンチウム、粉ミルク)

◆ストロンチウムが気になっている人も多いと思いますので、12月に東京都が発表した大気浮遊塵中放射性物質の調査(※10)と、過去のデータ(※11)を比較してみたいと思います。また、横浜のマンション屋上から採取した試料を民間が調査した結果と、国が検査した結果は、検査方法が違うためにかなり違う結果となったため混乱を招いていますが、双方の言い分には、どちらも一理あるため、今、東大の小豆川助教が同じ試料を使って第三者の立場から調査中(※12)ということですので、これについても資料みながらお話をしたいと思います。

◆昨年末粉ミルクから検出されたセシウムについて、三重大学の勝川俊雄准教授の「粉ミルクのセシウムとストロンチウムの長期的な変動」(※13)を参考にして、今回検出されたセシウムと、核実験が盛んだった頃に粉ミルクに混入していたセシウムの量を比較してみたいと思います。(勝川先生のサイトには、過去のセシウムやストロンチウムを自分で調べる方法まで解説してありますので、不安に思う人は、こういったボランティアの学者さんから無償で提供されている情報を活用するとよいかと思います。)


参考資料:

(※1)「科学」2011年10月号の東京大学小豆川勝見助教のコラム「福島第一原子力発電所から放出された核種と空間線量の関連性」のP.978に「空間線量計で示される値の意味」という解説を参考にしています。

(※2)一般法人物理探査学会の東日本大震災関連情報ページ(http://www.segj.org/message/index.html)にある「資料(1)福島第一原子力発電所事故後の線量率モニタリング」(http://www.segj.org/message/SCS-0072.pdf)には「どの核種が、どの程度存在するか」が判別できる特殊な装置で、事故後の関西と関東を比較した結果が掲載されていますが、これをみると、関東の線量は飛散した人工核種の影響が多く、関西ではそうではないことがわかります。

(※3)九都県市首脳会議要望書(http://www.9tokenshi-syunoukaigi.jp/pdf/60betsu4.pdf

(※4)「3月に降ったセシウム、過去最高の50倍超 気象研観測」朝日新聞社 2011/12/02 (http://www.asahi.com/special/10005/TKY201112010588.html)をみると、つくば市で昨年3月に観測されたセシウム137は核実験の影響で過去最高を記録した1963年6月の50倍以上だったことがわかります。

(※5)文科省の「環境放射能水準調査結果」(http://www.mext.go.jp/component/english/__icsFiles/afieldfile/2011/07/29/1307873_072914.pdf
「都道府県別環境放射能水準調査(月間降下物) の追加及び訂正について(3,4,5,6月分) 」(http://radioactivity.mext.go.jp/ja/monitoring_by_prefecture_fallout/2011/12/1060_1214_teisei2.pdf)

(※6)「けいとうさぎ」さんのサイト(http://www.keitousagi.com/)では、日本各地の個人が行った尿検査を数値をまとめて公表しています。

(※7)「放射能から子ども達を守ろうーみさと・尿検査結果のお知らせ」(http://www.infopara.com/kensa.html)では、三郷市の会が子どもたちの尿検査をした結果を公表しています。

(※8)「リスクを計る 中西準子 (21) アマゾン水銀汚染を調査」読売新聞 2011.12.20

(※9)「飯能市が放射線相談窓口を設置」(http://www.saitama-np.co.jp/news01/14/07.html

(※10)東京都の東京電力福島第一原子力発電所事故に係る大気浮遊塵中放射性物質の調査報告(http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2011/12/60lcq100.htm)の「※別添1. 東京電力福島第一原子力発電所事故に係る大気浮遊塵中放射性物質調査報告書 本文(PDF形式:329KB)」(http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2011/12/DATA/60lcq100.pdf)

(※11)環境放射線データベース(http://www.kankyo-hoshano.go.jp/kl_db/servlet/com_s_index)から、過去の大気浮遊じん中のストロンチウム90濃度を調べることができます。

(※12)「科学」2012年1月号の小豆川勝見助教のコラム「放射性ストロンチウムの検出と核種の再飛散」に、横浜のストロンチウム問題が詳しく掲載されています。

(※13)三重大学勝川俊雄准教授の公式サイトの「粉ミルクのセシウムとストロンチウムの長期的な変動」(http://katukawa.com/?m=20111218



2012.01.18更新



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