◆さいたま市役所で、土壌汚染についてお話を伺ってきました。(2012.5.17)

さいたま市は事故後1年以上経っても、まだ土壌検査を実施していませんが、民間検査機関で土壌を調べると、1年経っても、市内にはそれなりの量のセシウムがある様子がわかります。

既に土壌調査をして、値を公開している自治体も少なくないので、さいたま市でも検査してほしいし、公道などで高い汚染がみつかった場合どうすればいいのかも知りたいです。

そこで、運営スタッフが、民主党・西山さちよ市議にご同行いただき、市役所で、環境対策課や教育委員会の方からお話を伺ってきました。

(1)環境局環境共生部環境対策課

西山市議とスタッフ3名は、まず、事前にアポをとってあった環境対策課へ行き、新井課長、担当職員の方からお話をうかがいました。

すこやか:(個人が民間機関に委託して行った土壌などの測定結果、既に土壌測定結果を公開している他自治体HPのコピー、小豆川先生の放射能関連の記事のコピー、低レベル廃棄物のクリアランスレベルに関する資料の一部などの参考資料を渡す。)事故前は放射性廃棄物の取り扱いがものすごく慎重だったのに、今は環境中に無造作に未測定の放射能があって不安。線量計で測った値だけではその場所の本当の汚染状況は把握できません。また、民間測定所の測定器は天然核種の影響を十分に分離できないため汚染の高低という相対的なことはわかるけど、より正確な数値がないと住民の不安は解消されません(天然核種の影響のため、土壌の検査結果は実際より高めに出るようです)。より厳密に測定した値を、自治体から公表してほしいです。

新井課長:1つの課だけで決められるものではないが、複数部署での話し合いの場に意見を上げます。側溝掃除など学校に関わる問題は教育委員会に伝えます。

すこやか:(個人宅前の側溝の測定結果を渡す。)高い値が出て不安。個人の敷地内ではなく、公道の側溝なのだけど、測定や除染はしてもらえないのですか?

新井課長:各区役所の『くらし応援室』に相談してくれれば、測定もするし、汚染が高い場合は汚泥も片付けます。

すこやか:そうですか。早速区役所で相談してみます。また、測定値はHPにばかり公開されているので、紙で公開して欲しいのですが。

担当職員:年配の方からそういうご要望が多く、昨年9月から公民館や図書館に印刷したものを配っています。

すこやか:え?図書館に置いてあるのなんて見たことがないです。目立たない場所に置いてあるのでは?折角配っていただいているので、是非もっと目に付く場所に置くようにしてください。

新井課長はさすがに放射能関連には詳しくて、今まで報道されてきた放射能関連のトピックも大抵把握していらっしゃるようでした。「放射能については、既存の仕事をしている職員が片手間で調べている状態」とのこと。放射能の影響は長期間続くと思われるので、専任の職員の方などを配備していただければいいのですが…などとお話してきました。


(2)教育委員会

環境対策課とのお話が終わってから、事前にアポはとってなかったのですが、西山市議が教育委員会に連絡してくださったので、健康教育課、指導1課の方々とお話させていただけました。急にお願いしたのに、何人もの方とお話をさせていただくことができたのでありがたかったです。

すこやか:今年のプール清掃は?

教育委員会:既に4月18日の校長会で「昨年同様職員が汚泥を取り除いてから子ども達に清掃させるように」と指示を出しました。

すこやか:(個人宅前の側溝の測定結果などを渡す。)環境対策課にもこういった測定値を渡してきましたので、あちらからもお話があるかと思いますが、放射能が溜まった場所をわざわざ子供に清掃させる必要はないのでは?

教育委員会:学校によって側溝の形状が違うため、側溝掃除は、全部の学校ではやってません。校長先生が奉仕活動として実施する学校があるようだが、教育委員会では把握してないので、もらったデータをみて検討します。

すこやか:埃が舞い上がりにくい砂利を使ったり、スプリンクラーがある学校があるらしいです。学校によって子どもたちの被ばく量に差がでるのでは?

教育委員会:埃が舞い上がりにくい砂利は目が粗くて、転んだときの怪我がひどくなるという問題もある。学校の立地条件によっても、色々違うので、急に全部を変更することはできないが検討します。

プール掃除についても既に指示が出ているなど、昨年に比べて、役所の皆さんが放射能について詳しくなっていらっしゃるという印象を受けました。ご同行くださった西山市議、ご対応くださった環境対策課、教育委員会の皆様、お忙しいところ、どうもありがとうございました。


(3)区役所の『くらし応援室』

後日、側溝の測定値を持参した運営スタッフは、区役所の『くらし応援室』に「家の前の公道の側溝の土を測定したら、高い放射能が検出された。どうしたらいいでしょう?」と電話しました。
しばらくしてから、役所の方が現地をみにきてくれて、ちょうど側溝掃除に予算がついていたので、「側溝掃除」として、付近一帯をきれいにしていただくことになりました。この数年側溝掃除してなかった場所もあるので、まとめてやってもらえたようです。
こういう依頼は、既に市内でも何件か出てきているそうです。

市内全域に降り注いだ放射能が徐々に小さなスポットに凝縮されていくので、市内を一度に全部にきれいにするのは難しいかもしれませんが、こうして少しづつでも綺麗にしていただけるとありがたいです。


参考資料:
(1) 「原子炉等規制法におけるクリアランス制度について」(経済産業庁HPより)
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100117a05j.pdf

(2) 「Bq/kgからBq/m2への変換方法について」(日本保険物理学会の『暮らしの放射線Q&A』より)
http://radi-info.com/q-759/

(3) 他の自治体(関東)の土壌中放射性物質の調査例
* 白岡町 学校の土壌調査
* 相模原市 土壌調査


2012.05.30更新



inserted by FC2 system